制作工程のご紹介

1.木取り

1.木取り

材料のヒバやクスを、割れやヒビが生じにくくなるように、丸太や角材の状態で1年以上かけて乾燥させる。その後、木材を作品に必要な大きさのブロック状にして、電動ミシンで輪郭に沿って切り取っていく。


2.荒彫り

2.荒彫り

ノミで叩いたり、小さい作品は彫刻刀で削ったりしながら、大まかに形を彫り出す。


3.仕上げ彫り

仕上げ彫り

荒彫りした面をノミや彫刻刀で整え、筋や模様を掘り出す。部分によって刀の種類を変えながら、刀が入りやすい角度をとらえて、丁寧に滑らせるように彫って仕上げる。


4.下地作り

色がきれいに乗るように下地を作る。木肌の色をした砥の粉や、顔に塗る白色の胡粉などを、膠(にかわ)に混ぜて塗っていく。こうすると、木地が荒れなくなり塗りやすくなる。 また滲みを予防するために、ミョウバンと膠を混ぜた礬水(どうさ)も塗る。立体的にしたい模様部分には、胡粉を盛って高さを作る。


5.箔押し

箔押し

色を塗る前にまず、金箔や銀箔などを貼る。箔を貼る場所に膠を塗り、乾き始める直前にすばやくシワにならないように貼る。
その後、剥がれにくくするために礬水でコーティングする。こうすることで、箔の上に彩色をしたときに弾きにくくなる効果もある。


6.着物彩色

着物彩色

着物に色を塗る。基本は、淡い色から濃い色の順番に。地となる色を塗ったあと、彫りのバランスに合わせながら、柄の中で重要となる部分から順に塗っていく。


7.顔入れ

毛・お顔

最後に顔を描き込む。人形は顔が命なので、特に修練と技術力が要求される作業。髪の毛、眉、目、鼻、口の5か所を、各人形で表情の違いが出ないように注意しながら、細い面相筆で丁寧に描き込む。髪の毛・眉・目には墨、口には朱を使い、鼻の部分は胡粉を盛る。


8.検品

検品

乾かした後は、不具合がないか細かく確認する。柄が抜けている箇所はないか、並べたときに表情が揃っているか、色の濃さは統一されているかなど、一体ずつはもちろん全体のバランスも確かめる。職人たちの厳しいチェックを経て、完成。